TOPLIMIX生向け情報平安女流歌人1 藤原道綱母

 

 

平安女流歌人1 藤原道綱母

ツンデレ失敗系美女

対 象

実施日

右大将道綱母

蜻蛉日記の作者

道長の父親、兼家の妾妻。
時姫と正妻の座を争うが勝てず。途中まではいい勝負だったんだけどね。
高い身分の出身ではないが本朝三美人と言われるほど美しく和歌の才能もピカイチだったと大鏡に描かれる。

二十歳前に兼家と結婚。
兼家の浮気性と、この人のプライドの高さというか不器用さのせいで幸せな時間はそんなに長くなかった。
蜻蛉日記を読んでると旦那の方に非がある気がするが。

兼家が干された時は和歌や漢詩の代筆で力を貸している。

最終的に兼家の訪れが途絶えて離婚。現代だと別居か?

蜻蛉日記は新婚から別居までの20年を振り返る形で書かれていて、出版後あっという間に人気インフルエンサーに。
今なら「大臣の妾妻 儚い日々〜出会いから別れの20年〜」
とか「妾妻は見た 大臣の素顔」てきなね。
結局いつの時代もスキャンダルは売れるのだ。

なお、一人息子の道綱は小右記に「自分の名前くらいしか書けないおバカ」と書かれるほどだったので、女性への和歌はママに代筆してもらってた。

蜻蛉日記

特に面白かった段は
・安和の変で兼家の妹で高明の妻を気にかけて和歌のやり取りをする話。

・兼家が身分の低い女性(町小路の女)と浮気してブチ切れ。正妻の時姫に「ひどくない?お互い辛いよね」って歌を送って「私にしたらあんたも浮気相手なんだけど」と塩対応くらう話。

・上記の女性は男児を産むのだけれどその子はすぐに亡くなってしまい、女性も兼家に飽きられたか捨てられてしまう。それを聞いて悼むこともなく「あー、スッキリした!!ザマああああ!」と晴れやかになる話。こわい。

・道綱が弓矢の大会で頑張ったのを「うちの道綱ちゃんスゴイでしょ!」ってマザコンしてる話。

・お祭りで時姫の牛車と行き会い、和歌でちょっかいかけて塩対応される話。

・兼家の愛情が無くなっていく過程でキレて出家する話。
出家先が「般若寺」と名前からして天の配剤かと思うくらい出来上がっている。

・結局、兼家に迎えにきてもらって出家しないで帰る話。
スルスル詐欺じゃねーか!

・兼家がよそに作った女の子をその母親が亡くなったかで引き取る話。しかも兼家に女児の素性を黙ったまま兼家と対面させる話。怖いよ…

総じて思うのは
「ツンデレしたいんだけど、いつもデレに失敗して思うように愛情がもらえません」
というラノベのタイトルのような女性なんだな、ということ。

町小路の女の件はすさまじい迫力だった。ここだけでも現代語訳、略本でいいから人生で一度読むことをオススメします

六条御息所

道綱母は清少納言や紫式部よりは年上の世代、親世代の人なので、蜻蛉日記は彼女達にも読まれていて枕草子や源氏物語に影響を与えた。

ツンデレが上手くいかないところとかは、六条御息所のキャラ設定の参考にされていると思う。
両者とも正妻ではなく、正妻サイドと車争いしているところなんかも共通しているなと思うし。
片やライバルが減ってメシウマーってしてるし、片やライバルに生霊アタックして呪ってるし。

当時そういう女性が他にもいたのか、紫式部も妾妻の立場だったので共感することがあったのか。想像すると楽しい。

兄弟姉妹がすごい

この人は兄弟姉妹を少し追っかけるだけで、とんでもなく面白い。
兄が2人、妹が1人(他にもいたかもしれないが)。

兄のうち1人は清少納言の姉の旦那。
だから蜻蛉日記と枕草子は義理の姉妹が書いていることになる。

妹の旦那は菅原孝標。そこの娘が書いたのが更級日記。
だから蜻蛉日記と更級日記は叔母と姪が書いたことになる。でも菅原孝標女が好きなのは親戚筋が書いた枕草子じゃなくて源氏物語。

残りの兄1人は和歌の名手だったんだけど、公任に天皇の前で間違いを指摘されて、恥ずかしさマックスになってそれが原因で死ぬ。公任は和歌ガチ勢だからなぁ…

この兄弟姉妹すげー!

百人一首

53番
「嘆きつつ ひとりぬる夜の 明くる間は
      いかにひさしき ものとかは知る」

「(あんたが来ない来ないと)嘆きながら 一人で寝ながら待っている夜が明ける時間が どれだけ長いか あんた分かってんの?分かってないでしょ!」

蜻蛉日記13段にある和歌で当然のように兼家にあてた歌。

町小路の女の存在が発覚したあとの時期で兼家が
「ちょっと仕事思い出したわ」と出ていったけど、怪しさマックスだったので召使に尾行させたら案の定、あの女のところへ行ってやがったわ。

あのクソ旦那あああーーーと思ってると、数日後しれっと「開けておくれー」とドアをたたく音がする。兼家だと思うけどムカつくからシカトしてたらまた女のところへ行きやがった。

もう黙ってられないと「嘆きつつ〜」と歌を送ったら

「門を開けてもらうまで朝まで待ってようかと思ったんだけど、仕事の呼び出しがあってさー。待たせているのも申し訳ないけど、ドアを開けてもらえなかったのも辛かったよー」
と舐めた言い訳をしてきたから、その無神経さにマジでムカついたわ!

というのが超訳。
町小路の女との浮気がバレたのが、令和風に言うと兼家のスマホ見たら女との浮気LINEがあって、というもので、それといい、この段といい、兼家の脇が甘すぎじゃね?と思うのだが。
もうちょっとさ、なんていうか、上手くやりなよ…。

面白いのは「嘆きつつ〜」の歌は大鏡の兼家の章にも載せられていて「きわめたる和歌の才」を持った道綱母を嫉妬させた兼家のモテっぷりを賞賛するのに使われていること。
兼家は自分が返した歌も含めてお気に入りの和歌だったらしい。

詠んだ側は怒りマックス、詠まれた側はお気に入り。
この二人、夫婦になっちゃいけなかったんじゃないだろうか…?

 

 

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